「将生、いるのか」
天の助け!
声の主を確かめるより早く、三人してドアへ駆け出した。
「ちょっと待ったぁぁぁ!ッ!」
「痛ッ」
全員でタックルをかます勢いで、扉へぶつかる。
ちょうど室内へ入ってきた人物がよろけて、
ドアの縁に掴まる。
「あ」
三人して、うっかり声が洩れてしまった。
私たちに体当たりされた相手は、当然、倒れそうになる自分の身体を支えるわけで。
その人が突っ張り棒みたいに通せんぼする。
同時に、ドアを閉めて転倒を防ぐもんだから。
全員、研究室に閉じ込められるよね。
悪くない。
事情を知らないし。
反射的に行動しただけだし。
そう頭ではわかっているのに、視線は恨めしさがこもってしまう。
「……なんだよ」
端正な顔立ちが見下ろしたまま、不機嫌そうに唸った。
彼は、加納 悠真【かのう ゆうま】。桜沢·弟と同じく研究所の警備員として働いている。