でも、それを言っちゃったら女としてどうよ?
 誤解は解きたいけど、ぶっちゃけたらドン引きされる気が……


 どう弁明するか悩んでいると、やっぱりというか絶妙のタイミングで将生が割って入る。


「恭介ぇ。脱出たって、どうすりゃいいんだよー」


 黙れ、このお邪魔虫が!
 こいつさえ……こいつさえ、いなければ!

 さっきからいいところで、空気の読めない言動を繰り返してる。
 わざとじゃないんだろうけど、ここまでタイミングがよすぎると疑ってしまう。


 あ、でも、将生が来なかったら人形の封印が破られることはなかったわけで。
 そしたら、お互い掃除するだけして、さっさと帰ってたかも。


 偶然にも、イケメンと一緒にいられるハプニングを喜ぶべき?

 いやいや、この寒気と騒動がいただけない。

 どうせなら、もうちょっとリラックスできる場所で和やかに話したかった(けど、願望はそれだけ。他は、いらんいらん。面倒くさいし)。


 やっぱり桜沢·弟のおっちょこちょいには感謝できん。


 三十路近い女のあざとい考えなど露知らず。
 男ふたりは会話を続けていた。