「でも、今度は雑賀クンが……」

「本当に大丈夫です。今のところ何も感じないので。むしろ、白衣一枚じゃ気休めにもならないでしょうけど」

 そんな。
 どっちかっていうとキミの優しさが温かいよ。

 ちょっと、ほろりときた。
 こんなに優しくされたのいつ以来かな。


 過去の感傷を思い出しつつ、温もりの余韻に浸っていると雑賀クンがとんでもないことを口にする。


「あとはシャツを脱ぐか、抱きついてるしかないですから。さすがに、それはまずいでしょう」

「はいぃぃぃッ!?」

 着ているワイシャツをつまみながら語る表情は爽やか過ぎた。
 心臓が止まる勢いである。

 ただ驚きのあまりに出た声だったのに、雑賀クンは誤解したようだ。
 困ったように笑って頭を掻く。


 どっちも、ほぼ初対面の女性相手にすることじゃないですよね。すみません。


 などと、頭を下げてくる雑賀クンに一抹の罪悪感を覚えた。
 ちくりと胸が痛む。



 ゴメンナサイ。
 個人的には、心が傾きました。

 どっちも迷惑には感じなかった。正直、ちょっと妄想しかけた。