これから、どうしよう。


 非常事態になったことは間違いないけど、この12号研究室からの脱出は困難だ。

 あの髪長女を押しのける勇気、というか根性はない。


 そもそも、これは人形のせいなんだろうか?
 顔を隠すようにして張られていた和紙は、(剥がした犯人から奪い取って)確認してみたところ、やはり封印の術式らしいお札だった。

 さらされた女雛のお顔は、特別に変わったところはない。
 すました表情で扇子を手にして座っている。



 あまりに、おどろおどろした怖い雰囲気がないので、この異常な状況は封印を解かれた女雛さんの仕業だと断言できない。

 原因を判断する材料がないわけだから、当然のように問題も解決しないわけで。
 しばらく、三人して何もせずに立ち尽くす。

 重苦しい沈黙の中、ようやく雑賀クンが口を開いた。


「……空間が孤立したんでしょうね」


 なぬ?
 いきなりの不可解発言に視線を送ると、ゆっくりとした口調で説明してくれた。