腕を伸ばされ、手を握られる。
心臓の音が半端ない。
座ったまま、探るような上目遣いに身体が弛緩する。
「……それって、どういう意味ですか?」
訊かないでよ、そんなこと!
どうしていいかわからず、沈黙する。
逃げたいのに、雑賀クンが手を離してくれない。
いつの間にか、彼の柔和な笑みは消えている。
かたん、と席を立たれた瞬間、
「あれー? 姉ちゃんは?」
開かれたドアの音と共に、間抜けな声が訊ねてくる。
「うわあぁぁぁッ!」
一気に心臓が飛び跳ね、何故か怒りがこみ上げてきた。
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