「すみません。女の人って、何を考えてるのかよくわからなくて」


 雑賀クン。
 それは、全人類が永遠に背負うべき謎だと思うよ。

 私だって、今、キミが考えてることがわかんない。


「……それは、付き合っての感想?」

「はい。どうにも僕って、最後はいつも愛想を尽かされて逃げられるのがオチです」

 告白されて交際するものの、研究に没頭して、別れを切り出されるパターンらしい。
 ありがちな話ね。研究員って、普通の女の子には理解されにくいもんだし。


「そこまでくると話し合いすらできないんですよね。彼女の方が『もういいッ!』って、怒ってて」

 きっと、我慢に我慢を重ねてたのね。
 言えば雑賀クンだって気付いてくれただろうに。



「……もったいないことするわねー」

「えッ」


 思わず出た感想に、雑賀クンが目を瞬かせる。


 やべ。ついうっかり……。


「あ、違うのよ。雑賀クンじゃくて、彼女さんたちの話……きっと、本心じゃなかったっていうか」


 慌てて飛び退いて弁明するも、雑賀クンはじっとこちらを見つめ返してくる。