特に、今の海外は微妙に日本を恐れている。

 建国が記録にすら残らない遠い歴史を持つ。
 神々に守られ、降りに降り積もった霊力があるのでは、と変に勘ぐっているのだ。

 おまけに、いまだに核を持てないもんだから、腹いせに兵器開発を目論んでいるとか。
 全くもって、被害妄想の激しい国々だ。



 自然と口元に力が入る。
 彼の信念は、そんな思い込みで汚されるべきものじゃないはず。

 けど、きっと慰めて欲しいわけじゃないわよね。陰口たたかれても、研究を続けてるんだし。


 ならばと、発破をかけるように彼の肩を叩いた。


「気にすることないわよ。雑賀クンが研究したい理由は、人を傷つけるためじゃないんでしょう? どーんと胸を張りなさいよ。やましいことなんてしてないんだから」


 当たり障りのない言葉だったけど、嘘はついてない。
 彼の研究が実になれば、きっと霊障に悩む人は減るはず。


 周りの目なんて気にするな、と言外に含めてみただけなのに。


 雑賀クンは、まるまると目を見開いて凝視してくる。