あれだけ派手な爆発だったにもかかわらず、計器類の故障はなかったそうだ。
「じゃあ、雑賀クンも霊素エネルギーが専門なのね」
「はい」
モップで床を水拭きしながら、新米助手クンと他愛ない世間話をする。
これだけは、遥香にグッジョブと言っておこうか。
「もとは第四研究所にいたんです。たまたま恩師のお供で出席した学会に……」
「あー、桜沢のおじじ様に出会っちゃったのね」
納得するような相槌に、雑賀クンは目を瞬かせる。
「おじじ……?」
「ここの連中は、皆、あのひとをそう呼ぶのよ」
遥香の祖父は、いまだ現役の研究者だ。
顔がとても広く、面倒見もいい。ここの研究所の人間は親しみを込めて、おじじ様と呼ぶ。
学会などで新人を発掘してくることも珍しくない。
ただ今回は、騒動起こしまくる孫娘の助手を探してきた可能性も否めないが。
ある懸念がよぎる頭を振り切るように、別の話題をシフトさせる。
私には関係ないことだ。
「さ、雑賀クンは具体的に、どんな研究をしてるの?」