遥香のキャラについてけないのか、繰り返される爆発実験に耐えきれないのか、研究所を去っていく。

 キミの前の子は一カ月。その前は二週間。ひどい子は三日だったかな?


 今度の新人はいつ辞めるかって、賭けの対象になってる話も聞く。


 本来なら遥香の人格が問題にされるけど、ここの上層部には彼女の身内がいる。
 親の七光りならぬ、祖父の七光り。

 遥香が二十九歳という若さで、研究室を与えられてるのも実力だけではないはず。


 と、説明が浮かぶものの、慌てて口を噤む。

 いつかはわかる。今すぐ知らせることもないだろう。


 彼のような美男子は滅多にいない。貴重な目の保養。失いたくない。



 なので、勢いよく彼の手を掴む。


「わ、私、井上 真矢っていうの。隣の13号研究室で、助手をしてるんだ。よろしくね!」


 話題をはぐらかすために挨拶してみたものの、雑賀クンの表情はいまいち冴えない。


 握られた手に視線が落ちてる。


 あわわわわ。
 ちょっと強引だったか?
 別に、深い意味はなかったのよ。