「へえぇぇぇ。そんな言葉、いつどこで覚えてきたのかしら。悠真クン」


 明るい声音で話しかけると、ますます恐縮しきって後ずさろうとする。
 背後にある洗面台との距離はほとんどないってのに。



「別に、いいのよ。君が、そう思ってても」


 にっこり笑って、歩み寄る。


 悠真の顔は、そりゃもう泣きべそかく子供みたい。
 自分で掘った墓穴をどうしていいかわからず、おろおろと狼狽えてる。

 いつになっても変わりゃしない。
 かなり情けなくて、不細工。




「でも」




 とびきり可愛いい。
 この顔を見てると、背筋がゾクゾクする。



 もっと意地悪したくなる。



「だったら、君はどうなのって話になるだけよ」



 鼻で笑った指摘に、悠真は赤いままの顔を背ける。

 拗ねた感じの表情。

 この子の中では一番、好きだわ。


 ぴったりと距離を詰めて、腰を押しつける。


「目の前にいるのは、あばずれ女なのに。その気になっちゃった? 興奮しちゃった? 気持ちよかった?
 どうしたの、悠真クン。そんな安い女相手にしちゃえるほど飢えてたの? 我慢してたの? 寂しかったの?」