微睡みの中、ガタンッと派手な音に意識が覚醒する。


 重たいまぶたを開ければ、見慣れない天井があった。
 遠くで、水の流れる音がする。


 起こした身体は、ベッドの上。何も着ていない。
 散らかった部屋を見回すと、あちこちに服や下着が落ちている。


 まだぼんやりとした頭で、直前の記憶を探る。


 まず、自分の部屋でないことは確かだな。



 昨夜は、悠真の部屋で夕飯を食べて。
 そのあと、飲み会になったんだっけ。


 将生や玲奈が作ったつまみを片手にビールを……は、覚えてるんだけど。


 その先が、すっぽり抜け落ちてる。


 記憶がフッ飛ぶほど呑むのはいつものことだけど、今回のようなケースは初めてだ。

 掌で額に触れて、気付く。

 胸元に、うっすらと花びらのような鬱血ができている。
 それもひとつふたつじゃない。

 よくよく見れば、腕や足にもある。まさか全身?


 確認しようと毛布をめくったら、びしりと固まってしまった。
 腹部に、べっとりと白濁した液体がこびりついている。それも大量に。



 決定打だ。



 一気に気が遠くなる。




(……やっちゃった)