訂正するのが面倒だな。
 もっと直接的に訊くしかないのかしら?
 そうすると、今よりどもるだろうし。返答をちゃんと解読できるか自信ない。



 玲奈と話す時、いつも思う。
 なんで、この娘からイエスかノーくらい返事を訊き出せないんだろう?


 多少の苛立ちを感じるものの、ここで唐突に気付いた。

 毎回、同じ手法だから進展しないのでは?

 わたしの直感が、違うアプローチで攻めるべきだと告げている。



「ようし、わかった!」

「!?」



 ぽんッと膝を打つなり、玲奈の手を握った。



「今からでも遅くないわッ! 早く既成事実を作ってしまいなさいッ!」


「えッ、えッ、えぇぇッ!?」


 彼女の引っ張って、バスルーム前まで連れて行く。



「ほぁらーッ、さっさとすませちゃってよッ!」


「ッ!?」

「きゃーッ!!」


 バーンッと扉を開けると、弟たちが湯煙の中で暴れた。




 むー。
 やっぱり、これくらいのセクハラじゃ憂さ晴らしにもなりゃしない。