「だーッ、悠真! いきなり、お湯出すなよ」

「うるさい。おまえは、ぬるすぎる」

「悠真が熱すぎんだよッ。てめーは、江戸っ子かッ!?」

「もう黙れ。早く洗え」

「へいへい。悠真も動くなってば」



 うわ。
 マジで、ふたりで入りやがった。


 そんで、背中の流し合いっこしてそう。
 あれだけ渋ってたのに、ワケわかんないわ。



 アホな会話が流れてくる、リビングでおとなしく待っているけど。


 あー、退屈ー。
 お腹もすいたし。


 テーブルに頬杖ついて、ぼけっとしてると。



「ま、将生くん、大丈夫かな……」


 ハラハラした様子の玲奈が、バスルームを見つめている。
 せっかくだから、一緒に夕飯を食べようと将生が誘ったのだ。



 心配の種がどこかよくわからんが、大丈夫だ。

 あのふたりは一緒にいるかぎり、どうにもならん。

 中学時代、流血沙汰のケンカをしたけど、決着はつかなかったらしい(ちなみに原因は現在も不明)。