耐えかねたらしい将生が立ち上がる。


「そもそも、何で悠真と一緒に入らなきゃなんねーんだよッ!?」


「同感だ。なんで、俺の部屋でおまえに指図されなきゃならない?」


 ベッドに腰かけてる悠真は、睨みつけてくる。

 いつもより不機嫌そうだ。
 魔素を受けた影響は、ほぼ消え失せたものの体力は回復してない。



 ちなみに、ここは悠真が借りているマンションの一角だ。
 どうせなら皆で食事を取ろうと思い立ち、寄ったわけなんだけど。


 珍しく意見が一致する弟たちには、わたしの真意が伝わってないみたいだ。
 騒ぐふたりを見下ろして、端的に説明する。


「じゃあ、あとでひとりでお風呂入るのね。ふたりとも、各々」


 ここで互いに一緒に入らなければ、自分ひとりで入浴することになる。
 先ほど職場での恐怖体験をサッパリ忘れて、密室の空間で無防備になれるのだろうか。



「…………」




 問われて、二十七歳の男たちが沈黙する。


 けッ。チキン野郎どもめ。