やることやった後、遥香は事後処理は助手に丸投げ。
 途方に暮れかけたところで、玲奈が助けてくれたようだ。電極を外し、塗ってあった薬品を拭ってくれた。

 ありがとう、玲奈。
 そんで、すまん。

 私が気絶しなけりゃ、よかったんだよな。


「びっくりしましたよ。井上さん、いきなり意識を失うから……」

「ごめんなさい。本当に、ご迷惑をかけました」

「いえ。そういう意味ではなくて、無事でよかったです」


 苦笑する雑賀クンが、鞄を差し出してくる。
 それを受け取りながら謝るしかない。

 いろいろあって疲れてたのかな。
 マイナスな思考や、動揺は簡単に闇に落ちるから。

 油断した矢先に、取り込まれちゃったのか。
 周囲が専門家揃いだったからよかったものの。

 ただの霊障だったら、お陀仏だったかも。


 鞄の中から、スマートフォンを確認すると、午後九時を過ぎていた。



「……雑賀クンは、どうしてここに?」

「ひとりの井上さんを放っておけるはずないじゃないですか」

 間髪入れずにさらりと即答され、こっちが困った。