もう涙がこぼれそうだ。何が悲しくて、悪友に胸を揉まれなきゃならんの。
今現在の自分が置かれた状況は、絵的にシュールすぎないか?
などと、自棄ぎみになっていたら、遥香が考え込みながら呟く。
「うーん。音声だけ聞いてるとAVっぽいわね。タイトル的に『犯される女研究員。秘密の実験しつ』……」
「桜沢さん」
きっぱりとした雑賀クンの声音に遮られた。
い、いま、あんた何言おうとしたッ!?
雑賀クンが邪魔しなかったら、とんでもないこと口にしただろッ!?
「いい加減にしてください。僕、あなたの妄想に付き合うつもりはないですよ」
「なによォ、雑賀。あんたも男なら、興味あるでしょー? こんな風に無理矢理、好きな女に突っ込……」
「いえ。僕は無理矢理より、焦らしたい派です」
「えッ!?」
思わず、驚きの声が洩れた。
なにその、いきなりすぎるカミングアウト。
意外すぎる趣味じゃんよ。それとも、適当に流すための冗談?
ぐるぐると思考が巡ると、急に目眩がしてきた。
「ちょっと、雑賀ッ!!」
「えッ、あ……」