「拓真さんッ、悠真はまだいけますか?」


 固い表情でセクター長へ振り向くも、彼は首を横に振る。


「もう無理だな。ひどく衰弱してる」


 悠真クンは脱いだ制服にくるまれ、兄の膝を枕に横になっている。
 苦しげな顔には玉の汗が浮かび、呼吸も不規則だった。

 見ただけでわかる。次なんてない状態だ。


 誰もが悠真クンの安否を気遣う中、遥香がぼそりと呟く。

 他の人は気付かなかったであろう、その内容を私は聞き逃さなかった。



「チッ。この根性なしが……」



 本当に、何の恨みがあるんだ。あんた。