ゴッ!
 床に蜘蛛の巣状の亀裂が入った。
 場所は、悠真クンの膝より数センチ離れただけ。まるで繋がっていた何かを断ち切ったようだ。


 ん?
 暗闇のはずなのに、やけにハッキリ見えるな。

 おかしいと気付く頃には、視界はすでに色鮮やかで。


 ひっついてきた玲奈を抱き締めながら後ろを振り返ると、雑賀クンがドア近く立っていた。

 キミが明かりをつけてくれたのね。すごい早業ですネ。



「悠真、悠真ッ! しっかりしろぉぉぉッ!」

「将生、落ち着け。まず横にしてやれ」


 あ、忘れてた。
 幼なじみを抱きながら叫ぶ将生に、セクター長が駆け寄る。
 ぐったりとして動かない悠真クンを、ふたりで介抱し始めた。


 一方、

「雑賀! 数値は!?」

「……25,988。目標値まで4,012足りません」

 遥香と雑賀クンは、吸収した魔素エネルギーの値を確認していた。


 けど、発案者の顔はいまいち冴えない。


「あと、もう少しか……」

 指の爪を噛みそうなくらい、悔しげな声が滲む。
 計算よりも低い数値みたいね。悠真クンの抵抗力が想像より遥かに弱かったのが原因だろう。