全く気付かなかったな。
悠真クンが霊的免疫不全なんて。
将生とは正反対なタイプじゃん。些細なことで霊素の影響を受けるとは、またまた稀少な体質だ。
おかしいとは薄々、感じてはいたけど。
兄が霊術士であり研究員なのに、悠真クン自身が警備員をやっているのは不思議だった。
同じ職場を選んだのは、兄弟の仲がいいだけじゃなくて、悠真クンに何か不足事態に起きても対処するためなのだな。
いろいろ納得できた時、将生が情けない声をあげる。
「え~、なら、なんでオレまで~?」
「あんたは、ただの虫よけ。いや、呪いよけ?
ボケッとしてると悠真が呪力に当てられて死ぬからさ。エネルギーを取り出して、満タンになるギリギリまで粘って、引っ張られる直前で接続を切るわ。
それまで、悠真があの世に行かないよう、あんたに張りついててもらいたいのよ。気休め程度でもないよりはマシでしょ」
うわ。鬼がいる。
血も涙もない鬼女がいる。
説明する言葉には本音がだだ漏れ。
媒介になる悠真クンのことはどうでもいいらしい。