「……あの~、姉ちゃん訊いてもいい?」


「なによ」

 数分後。
 おずおずと訊ねてくる弟に、不機嫌そうな表情で振り返る。


「オレたち……一体、どうしちゃったワケ?」


 質問する将生の声音は戸惑いぎみだ。

 それもそのはず。
 彼は、何故か上半身裸。ついでに同じく脱がされた悠真クンを後ろから抱き締める体勢になってる。

 全くもって、意味不明。

 悠真クンは今にもキレそうだ。
 クールビューティというより、アイスビューティっぽい。

 刺し殺されそうな鋭い眼力。めちゃくちゃ怒ってんなー。

 まぁ、見てるこっちは眼福モノですが。
 ふたりとも、いい筋肉してるわね。さすがは警備員。


 うっとり魅入っていると、ようやく遥香が説明を始めた。
 何故か、金属バット片手に。


「いい? これから雛人形の魔素を取り出してみるわ。ヤツらは、力を奪ったら何もできないはず。悪さもしないし、研究室からも脱出できるわ」

 野球バットを抱え直し、これからの予定を話し始めた。

「ただ……問題は、ヤツらの居場所を特定できてないってこと。エネルギーを取り出すなら、人形本体に触れてた方がいいから」