悠真クンに義姉と呼ばせることで、名実ともにセンター長の隣を奪うつもりなのだ。


 あぁ、恐ろしい。
 その魂胆がわかっているからこそ、悠真クンはわざと呼び捨てにして、拒絶してるだけなのに。

 誰も理解してくれないのね。

 ……だんだん、彼が不憫になってきたなぁ。
 産まれた時から、こんな風にひとりぼっちじゃね。

 そりゃ、ツンツンしちゃうわ。
 つい同情じみた視線で悠真クンを見つめてしまう。


「ほらほ~ら、ひとに頼む時の態度ってあるでしょ~?」

「悠~真~、こんなのさっさと終わらせて帰ろうぜ~?」

「悠真」


 最悪だな。この面子。

 けど、私たちが口を挟むわけにもいかない(事情が根深いし、複雑過ぎて)。


 ぶるぶると震える背中が可哀想だった。
 だが、彼は屈する以外の選択肢を持っていない。



「……姉貴」



 ぼそりと小声で呟く。