絶句してしまった私のかわりに、玲奈が後を継いでくれた。


「最後の一点は、七人御先の因縁までも背負い込んでいる場合です。おそらく深夜には力を最大限に使い、私たちの生命を奪いにくるでしょう」


 仮説を踏まえた段階で、考えうる最悪のケース。

 わざとネガティブに結論を落としたのは、手堅く守備を整えるためだ。
 例え、起きてほしくない事態でも、予測して対処できればどうにかなる。


 そこで、今まで黙って話に耳を傾けていたセクター長が、口を開く。


「もはや、浄霊という形での解決は見込めないな。なら……」

 周囲を見回しながら告げてくる。


「この中で、霊術士の資格を持つ者は?」

 研究室の空気が硬度を増した。

 確実に、守りを固める気だ。
 実力行使も辞さない覚悟。それだけ危険な状況だってことだ。

 問題は、当てにできる人がどれだけいるか。


「はい」

 雑賀クンがひとり手をあげた。
 意外な展開に、目をまるくしてしまう。