「要するに、殺し損ねた七人目を探してるんだろう。そこの諸悪の根源を簀巻きにして放置しろ。こいつが死ねば、本懐が遂げられて成仏するかもしれん」
「悠真よぉ……それって、もしかしなくてもオレのことか?」
よっぽど、今の状況が気に食わないとみた。
将生を生贄にして事件の収拾をつけろと主張する。
気持ちはわからなくもないし、ありえない話でもない。
けど、
「そんな単純な話でもないのよ」
悠真クンの意見をやんわりと釘を刺す。ないわけではないが、それは希望的観測というヤツだ。
一番マシなパターンってだけ。
我々が相手にしているのは、そこまで聞き分けがよくないのだよ。
「力が強まった原因は、大きく分けて三点あるの。正確に押さえておかないと、脱出どころか生命の危険すらあるわよ」
三本の指を立てて、なるべくゆっくりとした口調で語る。
いや、もはや脅しに近いか?
「ひとつは、元から持ってる魔素。
雛人形は本来は厄落としの道具よ。少なく見積もっても、昭和六十年と平成二十年の厄が染みついちゃってる。これだけでもう立派な妖怪よ」