へー。
遥香のヤツ、一応、仕事はしてたのね。
この手の人形は証言だけじゃ足りない。当時の事件記事や所有者を洗い出さないと。
除霊でも封印でも、実際の対処には、絶対に必要な情報だからだ。
客観性に欠ける人の伝聞だけを信用してはいけない。
しばらく分厚いコピー用紙の束に目を通していたセクター長は、あることに気がついた。
「……惨殺された一家の被害者数は六人と、あるな。本当は七人家族で、残りの一人はたまたま不在だったため、命拾いをしたのか。可哀想に。彼女が事件の第一発見者だ」
記事によると、その家の娘は婚約者と出かけていた。
犯人の魔の手からは逃れたものの、帰宅した際に凄惨な現場を目撃する。
ここで、先ほどからおとなしく拝聴していた玲奈が口を開いた。
「……もしかして、七人という数に意味があるのかもしれません」
ぽつりと呟かれた一言に、ぞっとした。
「ちょっと。まさか七人御先とか言わないよね」
「なんだ、それ」
ひとり青ざめる表情にも、マヌケに尋ねてきた将生のおかげで迫力に欠けている。