ぎこちなく笑って、
踵を返す千葉くん。


……………………………帰っちゃうの?



さっきまで自信満々で、
「俺なら救える」なんて言ってたくせに…
……………帰っちゃうの?






「まちなさいよ!」






精一杯の声を張り上げて、
その背中を引く止めた。

いつぶりかな…………。
こんなに大きな声でだれかに
言葉をぶつけたの。


………………だって
いつも萌の声は届かないから。


苦しいって、やめてよって、
どんなに叫んでも
無駄だって知ってたから。


………だけど、


千葉くんは違うんでしょ?

萌の声が届くって期待したから
声を張り上げたんだよ。


だから…………………………