逃げてる………?
萌が?


「それに……あんま強がんな。
全部を諦めた人間が、
"千葉くんみたいになりたい"
なんてほざくかよ」


………聴いていたの?


「あんた、本当は諦めたくねーんだろ?
だったら諦めんなよ!
そんなのは……義足とかそーゆーの
関係ねぇんだよ!」


その言葉に、
息が止まりそうになる。


「なんで……なんで…知ってるの……?」


全身が震えたつ。



そうなんだ。
私は生まれつき、右の足首より下が無い。
16年も付き合ってきたから、
もう得に不便なんてない。

だけど、高校に入って
一番に仲良くなった花梨に
そのことを打ち明けたら、
気味悪がれてしまった。