その言葉に、
途端に頭の中が熱くなった。


──見苦しい?
萌が?


見苦しいの?


「人間でもないくせに、えらそーに!」
花梨の声に同調して、
取り巻きもみんなケラケラ笑う。

調子に乗った花梨は、
萌の胸ぐらをつかんで顔を近付けた。


「大丈夫、躾ぐらいはしてあげるわ」


不適な笑み。

固まってしる間に、
萌は突き飛ばされるように
背後の屋上倉庫に押し込められた。

「つっかえ棒、ない?」

つっかえ棒……?
嫌な予感しかしなかった。

倉庫の扉が閉められた。


「や、やめて!」


扉の向こうから、
つっかえ棒を扉に掛けている音がする。


「うそ………やだ!
開けて、開けてよ!」


私が叫べば叫ぶほど、
倍の笑い声が返ってきた。


「皆、スタバでもいく?
飽きたら出してやればいーわよ
躾だもんね?」


うそ…………………っ



遠ざかる笑い声と足音。


「だ、出して!」


普段なら砂嵐より耳障りな音なのに、
今は無音よりは恋しかった。


「出して!出して‼ねぇ!!」