彼の指差す先には、びしょびしょの服

幸い、顔にはかからず、メイクは崩れていないが、貰った服はびしょ濡れだ

体にまとわりついて気持ち悪い

「いえ、それも結構です!」

流石に濡れた服はショックだが、濡れたのは私だけではない

私を庇った彼の服もびしょ濡れだ

私の服だけ弁償してもらう訳にはいかない

「あの、ほんとに大丈夫なんで」

フッと彼の顔を見てみれば

どこか切なそうな顔をしていた

「助けてくれてありがとうございました」

その場にいたたまれなくなった私は

家へと駆け出した