「あぁ、お前に彼氏なんかいないよな……
じゃなくて、友達と遊ぶなら、もっとオシャレしなきゃだよな?」

ニヤっと笑う兄にゾッとした

これは何かされるぞ!と

本能が逃げろと言っていた

が、兄から逃げられる訳がなくて

「来い」

腕を引かれ、兄の部屋に参上

「いらっしゃい」

うふふと微笑む兄の彼女 坂口 紀莉子(サカグチ ノリコ)

大学2年生の紀莉子さんは、美容の専門学校に通う

スタイリストになるのが夢とか…

きっと、私は

「紀莉子、練習したいんだって」

まぁ、そうでしょうね

「ごめんね、ちょっと練習させてね」

そう言って、私に化粧やら何やらを始めた紀莉子さん

「お出かけの時間大丈夫?」

始めて20分くらい

かなり仕上がってきている

「はい、大丈夫です」

こんなに変わるものなんだな

と、感心しつつ、時計を確認

急げば間に合うかな

そう思った時に

「はい、出来上がり」

どうぞっと、紀莉子さんは私に鏡を向ける

「…わぁ」

鏡の中には、まるでどこかの国の王女様のような

それくらいに、綺麗な人がいた

「元が綺麗だから、頑張っちゃった」

化粧でこんなに違うんだ

少し教えてもらおうかな…