「ふーん?」
ニヤニヤと笑いながら、体を横にして私の方を見る。
「お姉ちゃん達も言ってたでしょ?喧嘩の原因はすれ違いだって。心の距離ってすごく大事なんだよ?」
「だから?」
「だ・か・ら!そこら辺は把握しておきたいの!」
あっそう。と言いながらちょっと真剣な顔になる猛。
綺麗な瞳・・・。出会ったときから何度も思っているけど、本当に綺麗。
この容姿だけで、どれだけの女の子が猛の事を好きになっているだろう?
それに加えてこんなに優しいし(意地悪なときも多いけど)。
「あ~あ。猛が私以外の女の子からはカボチャに見えればいいのに」
「っぷ。さっきから笑わせるなって。嫌だろ。カボチャの顔した彼氏なんて」
「いいもん。私だけでいいもん。猛が格好いいって知ってるのは」
この顔も、体も本当は誰にも見せたくないのに。
「でも、分るかも。それ」
え・・・?
「言っとくけど。俺、マジで他の女に冷たいと思うから、残念だけどモテないんだよ」
チュっとおでこにキスをしてくれる。
「ごめんな?モテない彼氏で」
そう意地悪そうに笑う猛が今度は唇にキスをしてくれた。
もちろんモテない訳なんか無いんだろうけど、
猛がそう言うのなら、信じてみようかな?
“信じあいたいと想います”
そう、猛が言ってくれたんだから・・・ね?
【心の距離】
END