「でね、清乃とのことなんだけど。ただの清乃の勘違いなんだ」

「・・・前付き合ってた女と会っていたのは本当なんすか?」

「もちろんそれは本当だよ。ただそれは元カノ、として会っていた訳じゃなくて、大学の時の仲間として会っただけだよ」

なんだ~やっぱり猛の言う通りだったんだ~。

「その時は大勢で飲んでいたし、前に付き合っていた彼女がいたとしてもしょうがなかったと思う」

「・・・」


「だけど、それが結果的に清乃を傷つけたことになったなら素直に悪いと思ってる」

良かった・・・。将君はやっぱり優しくて、お姉ちゃんの王子様だね?

ほっとしていると、猛の低い声が聞こえた。

「じゃあ、また同じ状況になったらどうすんだよ?」

「猛?」

「それでまた、しょうがなかった。そう言って傷つけるのか?」

猛が強い瞳で将君を見ると、さすがの将君もビックリしてるみたい。


周りのザワメキがやけに大きく響く。


「柚木君・・・。じゃあ君ならどうするんだ?君だってその容姿ならモテたんじゃない?」


将君は私に一言ごめんねっと言って、言葉を続ける。


「君だってそうゆう状況になったら、嫌とは言えないはずだよ。俺だってそんな大人じゃないんだ。周りに合わせないといけない時もあるよ」


「俺は、こいつしか興味ないし」


「・・・柚木君。それだけじゃダメなときもあるんだよ」


なんだろう・・・。


いつも大人っぽく見える猛が、今日はすごく子供に見える。


思わず猛の手を握ってしまった。