「大事なのは、元カノといたって事実よりも、あいつの気持ちじゃねーのかって事」
「将君の、気持ち？」
「そう。お前の姉貴は“元カノ”って響きに敏感に反応してるだけじゃねーのか？」
･･･いまいち、良くわからない。
「場合によっては元カノと一緒にいてもしょうがない時もある。例えば、お前だって中学の同窓会とかに行ったら、そこには･･･いるだろ？」
「･･･」
黙ったままコクンと頷く。
「その時大事なのは？俺が嫉妬してることか？」
「違う･･･私の気持ち。再会したからって、揺るがない気持ち」
「だろ？問題なのは元カノの存在じゃねーよ。問題なのはそんな事で崩れかけてる二人の絆じゃねーのか？」
「絆･･･」
「不安があるなら全部ぶつける。俺が良く言うだろ？」
そうだ･･･猛は私がちょっとでも不安になったらすぐに気づいてくれる。
お姉ちゃんが泣いてたのは元カノのことじゃなくて、壊れかけている二人の距離だったんだ。
