バン!
大きな音を立ててアパートのドアを開ける。
開けた先には少し驚いたような猛。
「驚かすんじゃねーよ」
そう言いながら近づいてきて私の首に巻いていたストールをはずす。
「どうした?なんかあったのか?」
すぐに私の変化に気づいてくれて、優しく声をかけてくれる。
こんな優しい猛が浮気してたら?
いつもモテる猛に心配とかは常にしてた。
だけどそんな特定の人との浮気なんて考えた事なかった・・・。
「・・・おい」
考えるだけだって呼吸が出来なくなるくらい悲しい。
「澄子。帰り道なんかされたのか!?」
声に出さずに泣き出す私の肩をゆさゆさと揺らす。
「されてない・・・」
「本当か?」
ほっとしたようにギュッってしてくれる猛。
優しい・・・
でも将くんだって、馬鹿がつく位優しい人なのに・・・
「猛は・・・」
浮気なんて、
遠い世界の話だと思ってたのに。
「浮気してないよね?」
長く付き合うって、
想い合うことだけじゃ足りないのかな?
【馴れ合い<優しさ】
END