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「猛っ」
猛は大学に入る前、車の免許を取った。
家の車だけど猛に似合う黒のセダン車。
バイクに跨る猛もいいけど、ハンドルを握る猛も新鮮で格好よすぎ。
「おつかれ」
ふっと微笑みながら髪を撫でてくれる猛。
思わず涙ぐんだのがばれないようにササっと車に乗り込む。
「ん」
運転中も当たり前のように繋いでくれる手。
そうだよね?前は毎日手を繋いでたもんね?珍しい事じゃない。
だけど久しぶりに繋いだ手は、なんだかくすぐったい。
「久しぶりだな?3週間位会ってなかったよな?」
3週間、そんなものだったんだ。
なんだか何年も会ってなかったみたいなのに。
「・・・うん」
前なら考えられない。
1日でも猛の姿が見えないと不安になったっけ。
「・・・」
「・・・」
車の中に響く猛の好きな洋楽。
どうしよう、会話が続かない。
会って色々話したいこととか沢山あったのに、頭が真っ白。