康介は、ふと われに帰る。

「ワリィ、行くわ…」
「早く行って」

愛恵は、焼肉屋の支払いを 済ませて 店を出る前に 康介に電話をする。

「もしもし?」
「愛恵か。いないわ…だめだ」

「診療所は?荷物あるんだから…戻るでしょ?」「あぁ…。戻るわ」
「あたしも行くわ」


15分後… 愛恵は明かりのついた 診療所に戻る。

中には康介一人が いつも長椅子に 横になっていた…

「ドコ行ってんだか」

「…あ…ジョーからだ」愛恵の携帯が鳴る。

「もしもし?」
「あれ?やっぱり人違いかな」
「どうしたの?」

「カウンターに優さんがいるから。一緒かとおもったけど…」

「ねえ!まだいる?」
「いるよ」
「引き止めといて。あたしに電話したこといわないで。すぐ行く」

電話を切る。

康介も愛恵の返答で 状況は理解していた。

「あたし帰ってるから…もし何かあったら電話して…」

「…愛恵。ありがとう…」


「早く行った行った!待ってるよ」



康介はタクシーを拾うと、再度 六本木の街へと逆戻り…。


クラブのカウンターに 優の姿を見つけた。


酔っているらしく、動きは鈍い。


ジョーは康介の姿を見つける。


「あぁ。ドクター!」
「ジョー…ありがとうな」
「良くワカラナイケド、彼女すごいノンデル」
「みたいだな。だいじょぶ。連れて帰るよ。仕事頑張ってな。愛恵に連絡くれて助かった…」



康介はカウンターに座り込む。


「帰ろう…優…」

優はカウンターにうつぶせになっていた…。


目には うっすら 涙が浮かんでいた…。


「…ごめんな…」

優は、素直に康介のあとについて 店を出た。


「気持ち悪いか?」

「大丈夫…」

「今タクシーつかまえるから」

「少し歩く」

優は、歩き出す…

「良くわかったね…」

「ジョーが連絡くれたんだ…」

「そっか…」