14時30

会場には約300人の報道陣。

司会の挨拶のあと すぐに愛恵の挨拶

「本日はお忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます。先日の週刊誌の一件及びそちらに付随して本日の記者会見を行うことになりました」


会場がざわつく。

「お静かに願います」
司会者が静める。

「ご質問の時間は十分とてありますから。まず藤倉の話からきいていただけますか」

福永がみかねて口を挟む。

「先日の一件では関係者の方、ファンの皆様へはお騒がせしました。申し訳ございません。全てが事実ではありませんが、わたくし藤倉愛恵は、こちらのジョー・サクストン・及川さんと結婚することになりました。また、お腹には赤ちゃんもいます。式などの日程は未定です。仕事につきましては、出来る限り変わらずしていきます。私からは以上です」


「では、質問のお時間とさせていただきます」

―「お隣の方が、お相手の方ですか?一言いただけますか?」

ジョーは愛恵を見る。彼女は笑って 彼に いつもみたいに…はなせばいいからと 囁く。

「はじめまして。今日はボクたちの記者会見にきていただきありがとうございます。ジョー・及川です。彼女の話したように…彼女のお腹には子供がいます。世間の皆様、彼女のファンの方がた、ボクのような若僧が、彼女と結婚なんてと思う人もいると思いますが、全力で彼女を守ってゆくことを、約束します」

―「指輪は?」
愛恵は昨日もらったばかりの 指輪を 報道陣にむけて見せる。

―「藤倉さんには少し物足りないサイズですよね?」

失礼な質問が来た。

愛恵は
「これが、小さく見えますか?」

ジョーを見る。
複雑な表情だ。

「恐らくほとんど方が格差婚だと…思うはずですが。全然そんなことないんです。もし…大切な人からの贈り物…このダイヤが小さく見える方なら、きっと本当に愛する人に出会ってないんですね…」

愛恵の言葉に会場は 一瞬 シーンとした。

―「プロポーズの言葉は?」

ジョーと愛恵は 顔を合せて

「そういえば言われないですね。帰ったら言ってもらいます」

会場は笑いの渦…