(…まさか……また…?)


苦い過去が蘇る。
信じてた人から裏切られる。
何を信じていいのか分からなくなる。

上司としての顔しか知らない彼も同じ?
ココロとカラダは、別とかいうタイプ……⁉︎


(…また…騙された?)

二度と同じ失敗しないって決めたハズなのに、どうしていつもこうなる?
イヤな気持ちが広がる。
…さっきは胸が熱くなって、思わず逃げ出してしまったのに……



「確かめてくる…」

呟いた言葉を、金井ちゃんが「えっ⁉︎」と聞き返した。

「…ホントかどうか、マネージャーに聞いてくるっ! 」

ロッカーのドアを閉めて飛びだした。
さっき下りてきた階段を駆け上がり、5階まで走る。
フロアの電気は消えてる。ここにはもう、いないみたいだ。


「ハァー…ハァー…」

口呼吸になりながらも上を目指す。
こんな必死になって、確かめなくてもいいことなのに、ハッキリしないと気が済まない。

上司でもある人の言葉。
私を好きだと言ってた…。

それがホントかどうか聞いてみたい…。
信じられる人かどうか確かめてみたい…。


(信じられる人だと願いたい!騙されてるなんて……思いたくない!)


パ…ッと眩しくて目を細めた。
6階のフロアが明るい。
マネージャーが…まだ残ってる……⁉︎


最後の一段を駆け上った。
開ける視界の先に、エレベーターホールが見える。
その前に佇む。
マネージャーの姿があった……