心の奥底から叫ぶような詩月さんの思いが、ヴァイオリン演奏から溢れていた。

喉元にまで込み上げた思いが、何なのか言葉にならない。


「悔しいないんか!! コラボの相手がメインで、メンバーでもあらへん周桜さん抜きでは認めへんなんて言われて……悔しないんか!!」

俯いていた昴が、力一杯に叫んだ。


――そうだ。悔しいんだ


俺は気づいてしまった、自分の気持ちに。

詩月さんがポスターの、CMのメインにいるのを見て、モヤモヤするのが何故か……気づいてしまった。


――自分たちのオーラが、詩月さんのオーラに劣っていることが、悔しいんだ


空は何も言わない。
俯いて押し黙っている。

悔しいなんて、詩月さんには言えない思いだ。

詩月さんには悟られたくはない、嫉妬と怒りだ。

言いたい思いを、胸に押し込めていたって、仕方ない。

ギクシャクするだけだ。