昴が俺を睨む。


「だって、詩月さんはコンサートにヴァイオリン、弾いてくれるって。事務所にも話すって言ってくれた。じゅうぶんじゃないか」


「話の腰を折るようなことをするなよ」


「23時前だよ。詩月さん、……ヴァイオリンの手入れをしてたって言ったけど……もしかしたら、もう休んでたかもしれない。それに詩月さんは、具合が悪くても言わないって……」


「だからって、アホばっかりすんなや」


「昴はずっと、詩月さんに冷たかったくせに……」

昴は俯いて黙りこむ。


「スポンサーが勝手に間違ってるだけで、詩月さんはXceonのメンバーではないのに、それでも弾くって言ってくれたんだ」


「だけど……『スポンサーが勘違いしている』なんて話が、本当だとは思えないよな。周桜さんを引っ張り出すための口実って考えてもおかしくないよな」


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Xceonのメインで、ヴァイオリンを弾いている詩月さんのオーラは、俺たちよりも遥かに際立っている。