「ねぇ、翔にぃ」



一人で悩んでいると、ふと声をかけられた。



「陽か。どした?」



陽は少し眉間にシワを寄せて、困ったように話し始めた。



「恋にぃと蒼にぃのことなんだけどさ」




やっぱお前も気になってたんだな。




「どうにか、母さんと上手く話せるようにならないかな…」




そう言って、陽は双子の兄貴を心配そうに見つめた。



ホント、兄弟思いのいい奴だよ。




「陽、心配すんな。きっとそのうち話すようになる。…家族なんだから」



そう。


どんなにすれ違ったって、喧嘩したって、家族なんだから。


絶対、分かり合える時は来る。




「陽はいつも通りに母さんと接してくれればいいから。な?」


「分かった」




小さく頷き、陽は兄弟の元に戻って行った。

その中にはお袋もいる。


どうやら下の奴らは、お袋に心を開いたようだ。



だよな。

だって母親なんだから。



自分の母親を心底嫌うことなんてできないはずだ。