「俺、うどんにするー」
「んじゃ、俺ラーメン!」
弟達を追って店の中に入ると、楽しそうに料理を選んでいる姿が目に入った。
あいつら、まだまだ育ち盛りだからな。
「母さんは、何食べる?」
ふと、弟達から離れたところに一人で立っていた母さんに、誰かが声をかけた。
「翠…」
それは、一番面倒見のいい翠だった。
「母さんも食べよう?」
「え、えぇ…そうね」
母さんは少し戸惑っていたけど、どことなく嬉しそうだ。
流石だな、翠。
あいつは、母さんが気まずそうにしていたことに気づいてたんだ。
翠がいてくれて、本当に助かった。
翠が母さんに話しかければ、きっとあいつも……。