「あ、翔ちゃん。おじさんからメールで、次のパーキングエリアに寄るって」


「了解」




時計を見ると、そろそろお昼時。


何か食うのかな。



パーキングエリアに着いて、弟達を叩き起こして車を降りた。



「あー!久しぶりの外ー!」


「1時間くらいしか経ってねぇだろ」



慎の頭をガシガシと撫で、弟達を連れて少し離れたところに駐車した親父達の元に向かう。




「親父、何か飯食うの?」


「あぁ。そろそろお腹が空く頃だろうと思ってな。皆好きなものを食べなさい」



親父はそう言って、近くにいた翠に五千円札を手渡した。



「ありがとうございます」



翠を筆頭に、弟達は店の中に入って行く。

その様子を見届けた後、俺は親父に向き直った。



「親父、あの双子の様子どうだ?」



お袋に聞かれないよう、コソコソと会話をする。



「私とは少しだけ話してくれるんだが、母さんとは話そうとしないんだ。

特に、恋くんと蒼くんは母さんが話しかけても反応してくれなくてね」




…やっぱそうか。



今までに数回会った時も、話そうとはしなかったから。



元々そんなにベラベラと話す奴らじゃないけど、普段人を無視するような奴らでもないことは知ってる。




「母さん、かなり参ってるよ。落ち込んでるのが見て取れる」




確かに、自分の子供に嫌われていると思うと、相当参るはずだ。



お袋だって、別に好きで仕事ばかりをして、子供を放っておいたわけではない。


それはあいつらだって分かってる。



分かってるのに、何かが引っかかるんだろうな…。