どうして私はこんな時、
気のきいた言葉をかけてあげられないんだろう。


「おーい。王子、聞いてる?」

「え、ああ…うん、行こうか」


怜の隣に並んでゆっくりと歩き出す。

ふと彼の右足を見ると、やはり少し引きずるようにして歩いていた。


それでも彼はそれを顔に出さない。


「やっと着いた。

…って、話し声がするな」