「美幸。…今日メイク濃くない?」

「……!?」


「目元とか…唇もキラキラしてる。」


美幸は口を両手で隠すと下を向いた。


「もしかして…けっこう気合い入れてきた?」


俺が悪戯に言うと


黙り込んでしまった美幸。


―えっ…マジ…??


いつも強気な美幸が今にも泣きそうな顔をしている。


俺…最悪だ…


「もう…いいっ…!」


美幸は映画館とは逆方向へと向きを変えた。


「ちょっ…待てって!!」


俺は必死に腕をつかむ。