振り返ると


美幸が横目で俺を睨んでいた。


「…い…いやいやまだ10時にはなってないだろ?
大丈夫。遅刻じゃないっ♪」


―ボカッ!


「いってぇ!!」


「何ヘラヘラしてんのよ,バカっ!行くよっ!」


美幸はプイと前を向くと映画館へと歩き出した。


…しかし!俺は気付いてしまった。


美幸の元へと駆け寄ると

顔を覗きこんだ。


「なっ何よ?」


美幸は眉間に皺を寄せる。


さらに顔を近づけると


「ちょっ…宏!?」


と頬を赤らめた。