「で,連れてこられたのがあの屋上。
したらマジで綺麗な夕日でさ。
嘘じゃないでしょ?って笑ったんだ。」


藤本さんはまたどこか遠くを見つめた。


「あの時から…あの人は俺の特別だったのかもしれない。」


「特別…ですか…」


俺もだ。


岩崎瑠璃を初めて見たあの日からあの人は特別になってた。


「きっかけってほんと不思議だよな?だって俺があの日忘れ物しなきゃ会わなかったはずなのに。
こんなに…俺の心に残るなんて…」


「藤本さん…」


藤本さんは俯き加減で呟いた。


「辛いよな…好きな人が自分のこと好きじゃないって…。

なんで…その人じゃなきゃダメなんだろな…」