「俺が入学式の後に教室に忘れ物して,学校に戻ったんだ。
そしたらその時廊下で,すっげぇ綺麗な夕日を見た。」
「夕日を?」
「そう。昔から空好きだったからさ。また感動したんだけど。
そしたら…」
藤本さんはふと笑った。
「ある女の人が俺に声かけたんだ。
『もっと綺麗に見える場所あるよ。よかったら写真部に入部しませんか?』って。」
へぇー。
なんかドラマチックじゃん。
「変な勧誘だよな?今思うと笑える。断ったんだけどさ,ほんとだって言って聞かないんだ。」
「その人,積極的っすね。」
「だよな。」
藤本さんは足元の砂を蹴った。
石ころがコロコロと転がる。