さてと。

それでは乙女の勝率を少し上げておくとするか。

「乙女様。四門メグは狡猾で凶悪な魔女でございます。乙女様の力を疑う訳ではありませぬが、魔術相手に剣腕だけでは不利も働きましょう」

そう言って私は、乙女に手をかざし。

「      」

高速詠唱で魔術を行使した。

「む…」

乙女がその異変に気づく。

全身を不可視の膜が覆い、力が漲るような感覚を覚えた筈だ。

「私も魔術を多少かじっております…今乙女様に施したのは『強化』の魔術…魔力による身体能力と防御力の向上が得られるのです」

「なんと…」

初めて経験する魔術の効果。

乙女は目を見張った。

「助力感謝する、ガーラ」

「いえいえ…私にできるのはこのくらいですから…」

私はもう一度深々と頭を下げ。

…乙女に見えぬように舌を出して嘲笑した。