「わかった」

乙女は頷いた。

「私でどこまで力添えできるかはわからぬが…私を頼ってわざわざ召喚までしてもらったのだ。何もしない訳にはいかぬ。戦乙女の名に懸けて、微力ながら助太刀しよう」

「おお…乙女様はまことのヴァルキリーのようでございます…何と慈悲深きお方…」

深々と頭を下げ。

…その下で私は笑いが止まらなかった。

この乙女という小娘、お涙頂戴には覿面(てきめん)に弱いと文献には書いてあったが…こんな三文芝居にまんまと騙されるとは、どこまで人が好いのだろう。

よくこんな単純さで彼の地を平定できたものだ。

まぁ騎士というのは誇りを重んじるばかりの単細胞ばかりだったというし、この小娘が単純なのも当然と言えば当然か。

さて、これで乙女は私の下僕として存分に働いてくれるだろう。

この女と四門メグをぶつけ、乙女が勝てばよし。

あわよくば共倒れが理想的な展開といったところか。

乙女が四門メグを倒した後は、強制的に元の世界へと送り返してしまえばいい。

あくまでこの女は呪眼強奪の為の手駒に過ぎない。

…私の策略がこの女に知れると何かと面倒だ。

用が済んだ後は早々に消してしまうのが良策だろう。