「実は…乙女様を召喚致しましたのは他でもありません…戦乙女と呼ばれる貴女の武名は、遠く時空を超えたこの地にも伝わっております…そのヴァルキリーと呼ばれた乙女様のお力で、是非とも私をお救い頂きたいのです…」

ガーラはその表情を曇らせた。

…時空すら超えた地にまで私を召喚できるほどの力を持つ彼女が、助けを求める事態というのはどんな事なのだろうか。

「…いいだろう。話を聞かせてくれ」

私は続きを促した。








ガーラの話を要約するとこうだ。

彼女の家系…エルウィンド家には『呪眼』という秘宝がある。

数々の魔術、魔法を蓄積した、強力な魔術品というものらしい。

ガーラはそれを先代から受け継ぎ大事に守っていたのだが、ある日、四門メグという女がガーラからそれを奪った。

四門メグはこの世界では悪名高き『魔女』であり、その呪眼の魔術を欲してガーラに戦いを挑んだのだという。

ガーラも召喚師としての矜持をかけて戦いに臨んだものの、四門メグは弟子である宮川修内太という少年と二人がかりでガーラを翻弄し、呪眼を強奪したのだという。

「魔女か…」

私はその話を苦々しく聞いていた。

私の世界にも御伽話はあるが、それに出てくる魔女も、狡猾で残忍、人間をたぶらかし、卑怯な手段を使って民衆を苦しめる邪悪な存在として描かれている。

「世界は違えど、やはり魔女とは忌み嫌われて当然の存在なのだな」

私はギリ、と歯噛みした。